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白花ユニバース設定資料集


-白花ノ霊譜-




概要


コンセプト


白花ユニバースは、白花神話体系の世界観を共有した作品群の総称である。
『時代劇の空気感』に『幻想伝奇とハイファンタジー構造』の要素を融合させた試み。
現長編5作、刊行は白花冥幻譚で1作目となる。
白花ユニバースの特徴:
・オリジナルの和神話体系(白花神話)を構築
・数百年の作中史(白花紀)を縦断する時代層
・幻想、伝奇、バトル、ホラー、戦記などジャンルをまたぐ作品バリエーション
・作中霊的エコシステム(霊気と瘴気の循環)から発生する魔法(巫術)システム

はじめに


世界には忌神によって瘴気が満ちた。
瘴気を浄めるため、西の果ての地に、巫女の生贄を捧げる必要があった。
生贄に選ばれた巫女の名は沙耶。
侍の蓮二は沙耶を監視しながら西の地に連れてゆくことになった。
――この一作目『白花冥幻譚』からはじまる白花の物語。
今や時代を超えた作品世界が連なる。
各作品は夜久爾やくにという遥か古代の大陸を舞台にした、同じ世界観、神話を共有している。

作品群


▼白花冥幻譚【完結/長編】
重厚な和幻想伝奇・ダークファンタジー。生贄の巫女と侍の浄化の旅を描く。(2024年8月〜)
→公式サイト https://seireisha.net/
→Kindle https://amzn.asia/d/0eVKSf46
※Kindle(電子版)に限り特価販売中

▼白花ノ剣 -三毒の魔女と蒼き欲望-【完結/長編】
エモーショナルな和風ダークファンタジー。少女剣士は悪徳の魔女たちとの戦いを通して、真実を切り開く!(2024年11月〜)

▼白花ノ幽姫 -甘し血の逢瀬-【完結/長編】
和風伝奇×ゴシックホラー×ボーイミーツガールの新境地!
哀しき吸血巫女と若き兵士の逢瀬は思わぬ宿命に呑み込まれてゆく……(2025年2月〜)

▼白花銀狼譚【完結/長編】
異能若武者たちのバトル伝奇。明日なき戦いの果てに『視える』真実とは。(2025年4月〜)

▼白花ジャーニー【途中/中編】
詩で紡ぐほっこり切ないファンタジー。十三歳になる見習い巫女の甘菜は、縁を結ぶ神様を求めて、狭世に潜る。(2025年8月〜)

▼白花滅龍譚【途中/長編】
和の龍狩り戦記開幕! 武士団は集団戦法『三段殺』で恐るべき龍へ挑む!(2025年12月〜)

▼白花ノ禁樹【新クトゥルフTRPGシナリオ】
新クトゥルフTRPGのルールに準拠したフルセットのシナリオ。探索者たちは謎の森で怪異や白花の神と邂逅する。(2025年7月〜)
→Booth https://booth.pm/ja/items/7233816

その他、本作世界観を段階的にオープンライセンス化する予定。

1. 世界観


舞台について


遥か古代に夜久爾やくにという世界があり、武家国家を中心とした国々が、緊張と融和の関係を繰り返していた。
中心的な国のひとつに、馬稚国まちがあり、その国内に白ノ宮しろのみやという、巫女組織があった。
馬稚国を中心に『白花紀しろはなき』という暦が使われており、白花冥幻譚では白花紀六七〇年が舞台である。

白ノ宮について


馬稚国の南東部に位置する白ノ宮は、大巫女を中心とした強大な宗教組織として周辺国に畏怖されていた。
巫女たちの厳格な位階、神との接触、周辺国での浄化や儀式執行など、白ノ宮はさまざまな宗教的使命を帯びている。

霊的構造


夜久爾には三層の次元がある。
現世うつしよは現実世界。
常世とこよはいわば霊界。
狭世はざまよは文字通り、現世と常世の間にある世界。
巫女たちは念と霊気と儀式にて狭世に干渉あるいは没入し、霊的な力を引き出したり、神々と接触したりする。

さまざまな組織


銀狼衆ぎんろうしゅう:瘴魔退治を専門とする異端の侍集団
戸陰とかげ:白ノ宮の『裏庭』を守る隠密集団
火津真党ほつまとう:火津真ノ神を崇める革命集団
汕舵せんだノ民:白ノ宮に呪術を伝えたとされる幻の民

2. 国家


馬稚国まちこく


夜久爾の中心的な国のひとつ。南東部に白ノ宮を擁するが、その白ノ宮の影響力を倦厭する勢力もある。
首都の旺鹿おうかには馬稚城があり、将軍を中心とした封建的な支配がされている。また、白ノ宮には『守護』という警備兵団があり、馬稚国が兵を供給している。
馬稚国では主に神話の中心たる日月ノ長神ひつきのながかみを信仰している。
兵の武装は白木製。
白ノ宮から西には下杉村、北には蛇背山がある。旺鹿の西には明葉ノ庄があり、その先に楼迦国との国境。

楼迦国ろうかこく


馬稚国の西にある帝国。西端に忌地とされる日暮ノ峡を有する。
馬稚国の影響下にありつつ、独自の帝制を敷いている。公家中心の国家運営は磐石に見えるも、反乱騒動も抱えている。都には帝宮を囲うように、警府、財府などの機関がある。
太陽神でもある、火津真ノ神ほつまのかみを信仰している。
兵の武装は組織により異なる。

丹綺国にきこく


馬稚国の北東より広がる平原の一国。平原の覇を唱える武闘国家で、恐るべき魔性の女王が支配するとされる。首都は朱浪で、朱の都とも呼ばれる。
馬稚国との国交はほぼなく、白ノ宮の威光も通用しない。
信仰は薄いが、日月ノ長神や武神の烈賀王れつがおうが浸透している。
兵の武装は、朱の鎧兜。国警軍と国武軍が分かれており、軍部の緊張関係もある。

3. 暦と単位


時節


現代地球と同様に一年十二ヶ月であり、季節の移ろいがある。
これに限らず現代地球と次元や時空を超えて共鳴する、鏡写しの世界と云えよう。
一週間についても七日に区切られており、曜日に神が配されている。
日曜 日月ノ長神(東ノ顎)
月曜 日月ノ長神(西ノ顎)
火曜 火津真ノ神
水曜 水奈弥ノ神
木曜 〓〓〓〓 故あって時代により空位
金曜 烈賀王
土曜 夜渡咤ノ神

年表


白花紀元年に白ノ宮が成立し、ここから白花紀がはじまったとされる。
平均40年で、大巫女は代替わりしてゆく。
677年 黄花殺し騒動(三作目:白花ノ幽姫 の舞台)
672年 歴史的日蝕(二作目:白花ノ剣 の舞台)
670年 瘴気禍の終焉(一作目:白花冥幻譚 の舞台)
664年 巫女の甘菜の神探し(白花ジャーニー の舞台)
663年 邪龍大顎との戦い(五作目:白花滅龍譚 の舞台)
660年 銀狼衆 薊班の騒乱(四作目:白花銀狼譚 の舞台)

551年 十五代目就任
516年 〓〓〓〓を封印(検閲削除)
511年 十四代目就任

元年 白花紀がはじまる

単位


通貨単位は『貝』と呼ばれる。貝貨幣制度のなごりである。一貝、十貝、百貝までは穴の空いた銅貨。千貝は鉄貨。一万貝は銀貨。十万貝は金貨。一貝は現代日本の一円とほぼ等価。銅貨は紐を通して束ねて扱われる。
国際取引では十万貝金貨や誓約証文が使われる。
以下は日本旧来の単位と同様。
時間『刻(約二時間)』
長さ『寸、尺、丈、間、里』
重さ『匁、両、貫』
容積『合、升、斗、石』
面積『坪、反、町』

4. 白ノ宮


白ノ宮の概要


白ノ宮は、大巫女を中心とした強大な呪力を誇る組織である。
名目と立地の上では馬稚国に属しつつ、各国に影響力を持っている。
馬稚国の都――旺鹿より四里ほど南東に下ると、峠の先の森に白木の建築群が現れる。その眺望たるや、樹海に咲く白花の群生と云えよう。

白ノ宮の建築


白ノ宮は五畝(約五百平方メートル)の敷地面積。外郭は白木の塀で囲まれ、監視台がある。西向きに正門があり、旺鹿へ至る街道に向いている。
白ノ宮の建築は、ほぼ全て美麗な白木でなされている。基礎は檜、全体は楢の設え。朱と銀で飾り立てられており、主神たる長神や、白花や、神々の彫刻が施されている。
馬稚国の兵が宮に多数詰めており、『守護』として警護にあたる。守護の鎧は黄金銅製(蝕の時代以前)。以降は馬稚国によく見られる白木製。
白ノ宮の中央には本宮があり、三階建ての最大の宮である。

白ノ宮の外宮


七つの外宮には以下のようなものがある。
食料を蓄えておくための穂積ほづみノ宮。
衛兵詰め所である守護しゅごノ宮。
来賓もてなしや祭り部屋である慶紗けいさノ宮。
見習い巫女たちが暮らす雛蘇ひなそノ宮。
図書などの収められた文読ふみよみノ宮。
儀式用の神繋かむつなぎノ宮。
守護ノ宮の地下には牢場があり、謀反人や精神に異常をきたした巫女を収監することもある。

白花信仰


白ノ宮の巫女たちは常に白花しろはなと呼ばれる万年花を儀式に利用し、白花を大切に扱ってきた。
また、古来は世界の秩序がよりよく保たれていたとされ、古来のような『白花境』という理想の世界を再興しようとしている。

白ノ宮の敷地地図


    2
 1     3

4   ☆   5
   甲
 6     7
    8

     乙
(下が西方)

☆ 本宮
1 〓〓〓〓(検閲削除)
2 文読ノ宮
3 雛蘇ノ宮
4 穂積ノ宮
5 神繋ノ宮
6 慶紗ノ宮
7 守護ノ宮
8 正門
甲 兵舎
乙 守護たちの修練場
その他、古い文書には、『言忌こといみノ宮』『遠訪とおおとないノ宮』などの正体不明の宮の存在が散見される。

巫女について


頂点となる大巫女をはじめ、一位から四位までの位階がある。
見習い巫女たる四位巫女からはじまり、霊受たまうけした巫女は三位巫女となる。そこから修行により、一年から三年で位を上げていく。
一位巫女は数人ほどであり、宮の運営を実質的に指揮する立場となる。
霊受とは、特定の神との縁を結ぶことである。(詳細後述)
十五歳ほどまでに霊受が成らぬ者は、白ノ宮を抜けるか、下働きなどに転向する場合もある。
服装については、両胸に銀の白花紋の入った白小袖に緋袴を着る。髪は銀の水引で留める。祭りの際は晴衣を着る。
大巫女は白袴に銀の冠。冠は長神と白花を模している。

5. 霊気と巫術


三層の次元


夜久爾には三層の次元がある。
現世うつしよは現実世界。
常世とこよはいわば霊界。
狭世はざまよは文字通り、現世と常世の間にある世界。
巫女たちは念と霊気と儀式にて狭世に干渉あるいは没入し、霊的な力を引き出したり、神々と接触したりする。

霊気と瘴気


霊気は狭世を介して、各階層を対流している。この均衡が重要であり、地理的な要因や人や生き物の想いにより、滞ることがある。その結果、瘴気が生ずる。
すなわち、霊気が滞り濁ったものが瘴気である。瘴気は人の心などに感応し瘴気病みを発病させる。また、人や動物に取り憑いて狂わせ、ときに瘴魔を発現させる。瘴気には負の感情や力が堆積している。
霊気は常世から生じ、狭世の霊路を介して、現世に流れ込む。
また、霊気の上流は上霊路、下流は下霊路、と呼ばれる。この均衡が崩れることでも、世界に瘴気が溢れる。
霊路は自然に作られたものもあれば、霊力者が作ったものもあり、各地の神社や祠などには、この霊路を調整する役目もある。

狭世への潜行


狭世には様々な領域があり、領域によって特定の神がいたり、施設めいたものや、地形があったりする。
悪霊や悪神が潜む悪影響を及ぼす領域もあり、場合によっては戻れぬ事態もあるため、注意を要する。

霊受


巫女たちは神繋ノ宮などで瞑想し、神とえにしを結ぶ。この儀式を霊受と呼ぶ。
儀式の様式として以下の通り。
・導手と受手が対面して座る
・受者は瞑想、導者は儀式鈴を鳴らす
・受者は狭世に潜行する
・首尾よくすれば狭世にて神と接続される

巫術


霊受を成した巫女は、狭世を介して神の力を顕現させる。その際、神に応じた『浄歌じょうか』が奏上されることが多い。
同じ神との縁であっても、発現する作用は様々である。
過度な巫術の行使は霊気の秩序を乱す。また、たいていの術は巫女の寿命を削るか、何らかの代償が伴う。
例としては以下のような巫術(顕現)がある。
火を燃え上がらせる。代償として己の体の一部を焼く。
不可視の刃を放つ。代償として血を失う。
瘴気の浄化を行う。代償として痛みや苦しみに襲われる。
己の霊と体を捧げ特定の神の擬態そのものを顕現させる。

6. 神と象徴


神々と人


神々は直接的には人間界ないし現世に影響を及ぼさない。基本的には、狭世を介してか、巫女による巫術を介して影響を与える。
非常に緩やかに、自然を介して神々が力や言葉を伝える場合もある。
神々の本性は常世に存在し、狭世には神の端緒がある。
神々は狭世にて巫女と対話することもあるが、必ずしも手助けするわけではない。およそ気まぐれの一環として、神々ごとの原理に沿った作用を示すのみである。神々にとって、人間は眼下の奇妙な生物でしかない。

白花しろはな
白ノ宮の周辺や、各地に咲く万年花でありつつ、日月ノ長神と同一視される、浄化と神性の象徴である。
ゆえに白花自体も神聖視されている。
白花を模した白花紋は、白い八弁の花びらの図象であり、巫女の衣服や神域の建築物の装飾に用いられる。
白花ノ浄歌『白花は 穢れし土へ根をはらむ 花開きては 浄しなるかな』がことあるごとに奏上される。

日月ノ長神ひつきのながかみ


東西の二つの頭を持つ、銀色の蛇の主神。西の顎で月を噛み、東の顎で太陽を噛むとされる。
銀の体色は霊気と瘴気の調和を象徴している。
無辺むへん、すなわち宇宙の中心の、巨大な白花の中で世界を見つめているとされる。
浄歌は白花ノ浄歌と同じ。

火津真ノ神ほつまのかみ


太陽と光や天体を司る男神。黄金の光輪で象徴される。翼を持ち、右手に火を掲げている。
火津真ノ浄歌『長神の燃ゆる東の顎より 産まれ出しは天つ焔火』

水奈弥ノ神みなやのかみ


海と水と生命を司る女神。水瓶で象徴される。
しろはなめ白花芽の妹とも呼ばれるが、なぜかは知られていない。
水奈弥ノ浄歌『長神の銀の鱗に流るるは わだ土に降るいや青し雨』

冥摩ノ神くらまのかみ


死と腐食を司る忌神。黒附子の花という、黒い大きな花に象徴される。
この神が世界に瘴気をばらまいた結果、瘴気が世界に溢れた厄災は、『瘴気禍』と呼ばれた。
冥摩ノ浄歌『西日落つ 地の底に這う腐れ根を 集め冥府ぞ いざすべからむ』

〓〓〓〓〓〓〓〓(検閲削除)
〓〓〓〓〓〓〓〓〓(検閲削除)
〓〓〓〓〓
〓〓〓〓〓〓〓〓
〓〓〓ノ浄歌『天地あめつちに 溢る穢れぞ巡りなむ 白花の芽の 浄しなるかな』

烈賀王れつがおう


元は人の王でありながら信仰を集める戦争と勇気と旅の神。矛と鷹で象徴される。

夜渡咤ノ神やわたのかみ


夜風を象徴する美しい長髪の男神。黒い薄衣に三日月の短刀を隠し持っている。命を狩る慈悲深き導き手とされる。
夜渡咤ノ浄歌『夜ごと鳴る 草木ささやく風音は くろぎぬ黒衣に照る月の白銀』

7. 銀狼衆


銀狼衆の概要


瘴気から生ずるとされる瘴魔は、動物や人が変異したもの、ないし、瘴気そのものから生まれた異形である。
このような瘴魔を退治する武士集団が銀狼衆である。

装備


暗緑色の着物と袴。鉢巻も同色。各自の戦闘方法にあった武器を携行する。
暗緑色の装束以外、装備に細かな制約はない。
多様な出自であるため、自身の信念や起源を忘れぬために、武具へ神の象徴などを刻むことが多い。

組織


銀狼衆では生き抜いた年数が、そのまま階級となる。
互いに初対面の場合、名前に添えて年数を述べ合うのが通例。
ときに、銀狼衆の戦闘技術を習得するために、入門する者がいる。
入門するには紹介ないし隊員への直談判が必要。
隊員間にも派閥があり、場合により抗争がある。
銀狼衆の上層部は謎に包まれている。

行動


依頼に基づいた瘴魔の討伐を行うことが常。
都や各地の隠れ家にて、密書や符牒にて作戦行動について伝え合う。
瘴魔退治などの依頼をするには、直談判や、国家中枢のつて、裏社会のつてなどを経由する。
ときに瘴魔退治ならぬ、人を殺める仕事を請け負うが、『外道』とされ銀狼衆の中では忌避される。
銀狼衆内での伝達は、事実の迅速な伝達が良しとされる。
『一つ、○○○○。一つ、○○○○。推参』
この様式で、重要なことから簡潔に述べる。伝達の途中に襲撃ないし絶命した場合を想定するためである。
その他、一般に知られぬ規律や禁忌、緊急的な統制があるとされる。

三術


瘴魔との戦闘を想定した三術を学ぶことが多い。とはいえ戦闘の主体は個人の武であり、三術は補佐的な役割に留まる。
観気ノ術かんきのじゅつ
念を凝らして瘴気を観る。
消気ノ術しょうきのじゅつ
念を整え己を律し、気配を消す。
鋭気ノ術えいきのじゅつ
念をぶつけ撹乱したり霊的影響を与えたりする。
おん』の発声と組み合わせることが多い。

8. 登場人物


登場人物の概要


白花神話世界では、白ノ宮の巫女、銀狼衆の武士をはじめ、さまざまな人物たちによる群像劇が、時代を超えて展開される。

蓮二れんじ
【白花冥幻譚、白花ノ剣、白花ノ幽姫、白花銀狼譚、白花滅龍譚】
かつて瘴魔退治専門の侍集団・銀狼衆にいた青年。沙耶の監視と護衛を兼ねて、西の地へ向かうことになる。巫女たちには深い不信と恨みがある。
「瘴魔は、浄めるんじゃねえ。叩っ斬るもんよ……」

沙耶さや
【白花冥幻譚、白花ノ剣】
水奈弥ノ神と縁を結んだ三位巫女。瘴気を体に吸収し、心身を削り浄化する、霊水の力を授かった。西の地に生贄として赴く。
「瘴気は、元々は想いでありますゆえ。――人や、あるいは人ならぬものたちの、浮かばれぬ想いが、溜まったものなのです」

雪凪ゆきな
【白花冥幻譚、白花ノ剣、白花ジャーニー】
烈賀王と縁を結んだ一位巫女。馬稚国では武神とみなされているが、その力は謎に包まれている。
「そなたは……。西の果ての地である日暮ノ峡に赴き、瘴気を抑えるための人柱と相なるのです」

縫衣ぬい
【白花ノ剣、白花ノ幽姫】
銀狼衆に所属する少女剣士で、白柄の刀を使う。幼き日の『盟約』により、左手に女の魔性が宿る。
亡き実父母の思い出の詰まった、白花糖という干菓子に憧れている。親族を盥回しにされる中で、自我と『欲望』を捨てた。
「わたしは……! 九慈郎様のように、戦いたい。もっと、強く…………」

九慈郎くじろう
【白花ノ剣、白花銀狼譚】
蓮二や縫衣の師である銀狼衆の老剣士。
「まだ重心が、浮いちまってるなァ。地に足を張るんだ。木のように。――な、人間てな、そういうもんだ」

せつ
【白花ノ剣、他】
老人の頭に大鷲の体を持つ怪鳥。甘い菓子が大好き。
「ゲッゲッゲッ……。ひい姫様ァァ、参りますぞォ!」

天魔王てんまおう
【白花ノ剣、他】
神代の時代より存在し、三毒の魔女を創造した魔性。長い銀髪に、浅黒い体には蛇の形のあざが這う。

蒼玉そうぎょく
【白花ノ剣、他】
神代の時代に造られた、人間の悪徳たる三毒(欲望、怒り、愚かさ)を象徴する三姉妹。
その三毒の魔女の長女で、『欲望』を司る。見た目はすらりとしたおとなしい女性だが、実はおそろしく欲深い。鳥を眷属とする。
宝具は「鳳嵐鈴」で、すべてを飲み込む黒い竜巻を生じさせる。
終わらぬ貧困と渇望が支配する世界を求める。
「わたしと共にいれば、与えよう。奪われてきたものを。諦めてきたものを……」

紅華こうか
【白花ノ剣、他】
三毒の魔女の次女で、『瞋恚』を司る。蓬髪豊満な怪女。長虫(蛇)が眷属。
人間が争い憎しみ合うのを見るのがなによりの娯楽。
宝具は「獄炎杖」で、呪われた大炎を生じさせる。怒りを霊気に変えて摂取する。
絶えることなき、佳き戦いの世界を求めている。
丹綺国の魔性の女王に君臨している。
「よい。怒りの炎が、燃えてきたのう。心地よい熱が!」

白蘭はくらん
【白花ノ剣、他】
三毒の魔女の三女で、『愚昧』を司る。桃色の小袖におかっぱの、あどけない童女に見える。千歳という大きな猪を眷属とする。
人間がおどろいて混乱するのを見るのが大好き。
宝具は「花乱笛」で、人間を幻惑し狂わせる呪いを発する。混乱を霊気に変えて摂取する。
あくなき狂瀾と愉悦の世界を求めている。
「まだまだ、足りないよっ! もっと、とびっきり、楽しくしなくっちゃ……」

未命みめい
【白花ノ幽姫】
白ノ宮の四位巫女の少女。霊受の際に『謎の魔性』と繋がったことで、血の渇きに目覚め、血を求めるようになる。
生まれ持った『神との感応能力』のせいで運命に翻弄される。
「もうさ、終わりにしなきゃ。――だめなんだよ。理久……。あなたのために……」

理久りく
【白花ノ幽姫】
馬稚国から白ノ宮に派遣された守護の兵で、天清流の『正しき』剣術に誇りを持つ青年。心の奥底に弱さとずるさがあり、その影を断とうともがく。
血の渇きに苦しむ未命と出会い、血を与えるようになる。
「俺は、夜ごとに、渇いていく感じがする。――未命。もっと、俺たちは、深く…………」

緋奈ひな
【白花ノ幽姫】
未命の友ともいえる若き四位巫女。童顔の優しげな少女。
「ふふ、隠さなくたっていいのに。――思いつめるのは、よくないよ。ね、とにかくさ。何かあったら、相談してよね」

鶫水つぐみ
【白花銀狼譚】
元巫女で、銀狼衆・薊班に所属する少女。生存2年。
かつて主神の日月ノ長神を霊受し、予知の力を授かるが、代わりに視力を失ってゆく。五貝銅貨の穴から未来を垣間見る。武器は刀。
「視れば地獄、視ざるも地獄。どうせなら、わたしは視るよ。ね、蓮二」

黄泉丸よみまる
【白花銀狼譚】
銀狼衆の生存12年の男で、薊班の要役。長髪の長刀使い。
表向きは馬稚国の都で『薊屋』という宿を営む。
「薊班の次の任務だ。しかと聞け」

奈義なぎ
【白花銀狼譚】
薊班のひとりで、おかっぱの白髪。一度死んだことがあるらしく、そのせいか瘴魔に見つからない。武器は釘。
「教えてよ、蓮二。僕が生きる、その意味をさ」

静迦しずか
【白花銀狼譚】
薊班のひとりで、青みかかった長髪の美青年の弓使い。普段は温厚だが怒らせると危険。
「蓮二、私が援護する。瘴魔を近づけないでくれ」

伊月いつき
【白花銀狼譚】
薊班のリーダー格。没落した武家の後継ぎ。壮健な外見と態度とは裏腹に、繊細な面もある。武器は槍。
「よし、行くぜ薊班、死ぬんじゃねえぞ!」

甘菜あまな
【白花ジャーニー】
十三歳になる見習い巫女。縁を結ぶべき神様を求めて狭世に潜る中で、暖かくも不思議な体験を重ねて、自分自身を見つけてゆく。
「わ、わたしめはっ。見習い巫女の、甘菜と申します。――願わくば、烈賀王……あなたさまの、縁を賜りますよう…………」

桑田鷹四郎くわたたかしろう
【白花滅龍譚】
邪竜の襲来する鳳勢国の若き武士。英雄の父の仇――大顎を討つために苦悶しながら、頚断の道をゆく。
「父上……! あァ、大顎! 殺してやる……。殺してやる……」

参考文献


・図解 巫女 F-Files(新紀元社)
・図解古事記・日本書紀(西東社)
・決定版 邪馬台国の全解決(言視舎)
・声に出す祝詞、お経、真言 CD付(原書房)
・『華厳経』『楞伽経』(現代語訳大乗仏典、東京書籍)
・禁書 白魔術の秘法(二見書房)
・ユング心理学入門(岩波現代文庫)
・生命の木―ゴールデン・ドーンの伝統の中のカバラ(株式会社フォーテュナ)